デトネーション
デトネーション(爆轟)は燃焼の一形態で、衝撃波とそれに誘起された化学反応が表裏一体となって、超音速で伝播する現象です。その伝播速度は1000 m/s〜3500 m/s、マッハ数4〜7程度で伝播する非常に高速な現象で、デトネーション背後の圧力は初期圧力の15〜40倍にも到達します。実社会でデトネーションが起こると甚大な被害が生ずるため、デトネーションの開始機構や伝播の基礎特性について調べています。
デトネーション・エンジン
ディスク型回転デトネーションエンジン
回転デトネーションエンジンは、Pressure Gain(圧力ゲイン)燃焼が可能な高効率エンジンとして、世界各国で研究開発が進められています。中でもディスク型回転デトネーションエンジン(Disk-type Rotating Detonation Engine, DRDE)は燃焼器の薄型化が可能で、燃焼室流路を滑らかにして燃焼器出口を絞ることで、圧力ゲインを向上させることができます。この研究では、推進剤の質量流量、燃焼器形状がDRDEの性能に及ぼす影響について調べています(この研究は、競輪の補助を受けて実施しました)。
デトネーション駆動による水中衝撃波を利用した液体殺菌
デトネーションは衝撃波を伴うため、伝播方向の通過断面積を減少させることで波が収束し、圧力を高めることができます。本テーマでは、デトネーションを収束させて超高圧状態を生成し、その圧力を液体に印可することで液体中に衝撃波を作り出します。この衝撃波を利用して、液体に含まれている微生物等の殺菌を目指しています。この方法では以下の利点があります。
- 低い混合気初期圧力で高い水中衝撃波圧力が得られる
- 薬剤を使用しないため環境負荷が少ない
- 非加熱殺菌であるため処理対象液体の範囲が広い
水素燃焼バーナ
水素は二酸化炭素を排出しない燃料として、今後,発電用ガスタービンやボイラーでの利用が拡大することが予想されます。しかしながら、水素の反応性の高さと単位体積当たりの発熱量の低さから、多くの場合、既存設備の改修が必要となります。このテーマでは、バーナ設計の基礎データ取得のため、水素専焼バーナ、水素と炭化水素燃料混焼バーナの基礎特性について実験的に調べています。
燃焼排出物制御
炭化水素燃料を燃焼させると条件によっては煤が生成されます。煤は、直径数十nmの一次粒子が多数凝集して構成されており、人体に有害な物質として各種業界で排出量が規制されています。カーボンニュートラルであるバイオ燃料も、燃焼性の低さから実用的には他の化石燃料と混合して燃焼させる必要があります。このテーマでは、煤の生成過程および生成特性を衝撃波管という温度・圧力を独立に設定可能な実験装置を用いて調べています。さらに、煤の一次粒子径や煤生成量の制御を試みています。